1. 任意整理
2. 特定調停による整理
3. 個人再生手続きによる整理
4. 自己破産による整理
5. 訴訟による整理
Ⅰ 債務整理手続きの種類
1. 任意整理
法的手続きを経ることなく当事者同士もしくは司法書士等に委任し債権者と交渉する。
利息制限法に引き直した債務残額を元に、分割での返済計画を交渉していく。
メリット
(1)裁判所等の公的機関を介さないため、最も弾力的かつ素早く整理可能。
デメリット
(1)債務者本人では、金融業者等がなかなか話し合いに応じない。
(2)長期にわたる分割弁済(ex.3年を超える)だと交渉が難航もしくは不成立となるおそれ有り。
費用
(1)司法書士費用
※ 任意整理ができる司法書士は「簡易裁判所訴訟代理関係業務」をすることを法務大臣に認定された司法書士に限られます。
※ 当事務所の司法書士は「簡易裁判所訴訟代理関係業務」に関し、法務大臣の認定を受けております。
2. 特定調停による整理
裁判手続きである調停を利用し、返済計画を交渉していく。
メリット
(1)裁判所で、調停委員を介して貸金業者等と交渉できる。
(2)貸金業者に対する取引開示要求が、明文で定められている。(特定調停法12条)
(3)競売の停止手続きの得則が定められている。(特調7)
(4)債務者自身が債務整理を行う場合、一番利用しやすい手続き。
デメリット
(1)3年を目処に支払計画が立てられるため、あまり多くの債務があると計画が立てられない場合あり。
(2)支払が滞ると、調停調書に基づき強制執行をされてしまう。
(3)調停委員により、調停の進行にばらつきがある。
(4)調停に乗るかどうかは、債権者の自由。
費用
(1)1社につき収入印紙300円+郵券+司法書士費用
3.個人再生手続(小規模個人再生・給与所得者等再生)による整理
債務総額が一定限度内であれば、債務の一定額を弁済すれば残りが免除される制度。
メリット
(1)住宅を維持しながら債務整理可能。
(2)債務の一部(いくつかの要件により算出された額)を3年間で分割して支払えば、残りは免除される(規定されている中で一番最低の弁済額は、3年間で100万です。但し、総債務が100万円未満の場合はその額)。
(3)免責不許可事由(浪費・ギャンブル等)があっても利用できる。
(4)破産のように資格制限が無い。
デメリット
(1)裁判所に収める予納金が高額となる可能性がある。
(2)申立書の作成及び申立に時間と労力がかかる。
(3)将来において継続的な収入を得る見込みがあるか、給与またはこれに類する定期的収入があることが要求される。
(4)住宅ローン等を除く無担保債務が3000万円以下であることが必要。
費用
(1)予納金19万1,928円(横浜地方裁判所の場合)+収入印紙(1万円)+郵券+司法書士費用
4. 自己破産による整理
最終的に債務者を救済する制度。
免責確定により、はじめて借金が免除される。
メリット
(1)破産手続きを行うことにより、多重債務の問題がすべて解決することが可能。
(2)手続きの簡便化がすすみ、債務者個人が申立てることも可能。
デメリット
(1)仕事によっては、資格制限がある。
(2)免責不許可事由に該当する場合は、最終的に借金が免除されない可能性あり。
(3)不動産を所有している場合は、手続きが煩雑化する傾向にある。
(4)一定額以上の資産がある場合は、裁判所に収める予納金が高額になる場合あり。
費用
(1)資産が無い場合は予納金1万4,170円(横浜地方裁判所の場合)+収入印紙(900円)+郵券+司法書士費用
(2)資産がある場合で、破産管財人を選任する場合予納金50万~+収入印紙(900円)+郵券+司法書士費用
5. 訴訟による整理
(1)裁判によって、払いすぎたお金を取戻したり、債務の不存在を確認する手続き。
(2)相手方は出てこざるを得ない。
(3)デメリットとしては、訴訟知識が要求され、手続きが難しいことがあげられる
Ⅲ 整理方法の選択の目安
(1)まず、残債務の確定をする。
(2)そのためには債権者に対し、取引明細書を要求し、利息制限法に引き直す。
(3)残債務が一括にて返済可能な位であれば、任意整理もしくは特定調停の利用を考えてみる。
(4)3年位で無理なく返済できるようなら、任意整理もしくは特定調停の利用を考えてみる。
(5)任意整理または特定調停では債務が支払いきれない場合で、継続的な収入が見込める場合、若しくは居住不動産を所有している場合は個人再生の利用を考えてみる。
(6)定収入がない場合、若しくは定収入があっても債務が多額にのぼる場合は、自己破産を選択。
(7)利息制限法で引直計算を行い、利息の払いすぎ(過払い)が生じていた場合は、過払金返還訴訟を提起する。
一般的な事項を記載いたしました。
事案によって異なる場合もありますので、詳細は司法書士等の専門家にご相談ください。