少額訴訟は、原則1回の裁判で判決が言い渡されるため、簡易迅速に手続きを進めることができます。
利用するには、以下のような制限もありますが、それらをクリアするのであれば利用者にとって非常に有用な手続きといえます。
ただ、事案によっては、少額訴訟より通常訴訟を選択するほうがメリットがある場合もありますので、その選択は慎重に行うことをお奨めいたします。
1. 裁判で求めていく金額が60万円以下の紛争に限定されます。
2. 金銭の支払いの請求を目的とする訴えに限定されます。
※ 貸金の返還や敷金の返還などが多くみられます。
※ 60万円以下でも、不動産の明け渡しを求める訴えや債務不存在の訴えなどはできません。
3. 少額訴訟を利用する回数が、同一の簡易裁判所で1年に10回までに制限されます。
4. 原則1回の裁判期日で判決がなされます。
※ 訴状提出から約1ヵ月後くらいに裁判期日が指定され、原則その日に判決が言い渡されます。
5. 判決で3年を超えない範囲内の分割払いや支払猶予が定められることがあります。
※ 相手方の資力などを勘案して裁判所が定めますので、分割払いの判決がなされることがあります。
※ これらの条件が付されることを望まないのであれば通常訴訟を選択していくこととなります。
6. 証拠は、1回目の裁判期日で取調べができるものに限られます。
※ 証人などがいる場合は、1回目の期日に同行してもらいます。
※ 証拠が少ない場合や紛争の事案が複雑な場合などは、仮に訴えの価格が30万円以下でも通常訴訟を選択した方が良い場合があります。
7.判決に対する不服申立方法が、異議の申し立てに限定されます。
※ 通常訴訟のように控訴はできません。
※ 異議の申立がなされたら、同一の裁判所で審理がなされます。
8.行方の知れない相手に対しては、申立ができません。
※ 行方不明で、全く居所がわからない場合は通常訴訟を選択していくこととなります。
上記は一般的な説明となっています。
詳細や個別事案については、司法書士等の専門家にお問合せ下さい。
なお、法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所における裁判の代理人(少額訴訟含む)になることができます。