よく、法律相談などで「まず、内容証明を出してみましょう。」といったアドバイスを受けることがよくあります。

この「内容証明」とは一体どういったもので、どのような効果があるものなのかご存知ですか?

 

1. 普通郵便ではなぜ不都合が生じるのか

 

通常の郵便は、はがきや封筒をポスト等に投函することによって相手方に配達されます。

これだけでは、そもそも届くかどうかさえ保証がありません。

また、後日どういった内容の文書を送ったのかを誰かに見せなければならなくなった場合には、相手方にそのはがきや封書を借りなければならなくなります。相手方がその郵便物を捨ててしまった場合は見せることはもはやできません。仲の悪い相手方であった場合は、着いてないというかもしれません。

郵便文書の控えを取っておくことも考えられます。しかし、その控えが本当にその郵便で出されたものなのかどうかを誰かにわからせることはなかなか難しいといえます。

なぜならあなたが「この控えを、いつ、誰に当ててだした」といっているだけだからです。もしかしたらあなたが、郵送後書き換えたものを控えとして取っているのかもしれません。

また、控えを取っていたとしても、いつ出して、いつ相手にそれが着いたのかを証明することはできません。

書留にして出すことも考えられますが、相手に着いたことはわかりますが、内容まではわかりません。

こうした不都合を解消するために、内容証明郵便を活用します。

 

2. 内容証明郵便とは

 

差出人が、同内容の文書を3通作成し、郵便局に持参することによって、1通を相手方に郵送し、1通を郵便局が保存し、1通を差出人の控えとして返却されます。

こうすることによって、どういった「内容」の文書を「誰に対して」「いつ」郵送したのかを郵政事業庁が証明してくれることとなるのです。

しかし、相手方に「いつ届いたのか」は内容証明郵便だけではわかりません。それを補うために、「配達証明」制度を活用し、郵便物が配達された日を証明していきます。

「配達証明」とは、書留について認められている制度で、配達した年月日を後日葉書で連絡してくれるものです。

内容証明郵便プラス配達証明で、「誰が」「誰に対して」「いつ」「どういった内容を」郵送し、それが「いつ着いた」のかを証明することができることとなります。

 

3. 内容証明の書き方

 

(1)用紙

用紙に制限はありません。B4二つ折りでも、A4でも、B5でも使用できます。

市販の内容証明専用用紙でなくてもかまいません。

罫線も不要です。

 

(2)字数・行数等

字数・行数には制限があります。

「1枚26行以内、1行20字以内」となっています。

縦書き・横書きのどちらでもかまいません。制限はありません。

手書き・ワープロ問わず制限はありません。

 

(3)文字

原則「漢字・仮名・数字」となります。

但し、固有名詞(商品名等)の場合は英字も使えます。

また、一般的な記号(%等)や括弧・句読点は使用できます。

これらの、記号や括弧・句読点も一字と数えます。

 

(4)記載内容等

郵送する年月日、差出人の住所氏名、受取人の住所氏名の記載が必要です。

この住所氏名は、封筒に記載するものと同一であることが必要です。

差出人の氏名の横(横書きの場合。縦書きの場合は氏名の下)に印鑑を押印します。印鑑の種類は問いません。(三文判可)

尚、枚数が複数にわたる場合には、同一の印鑑で契印をします。

 

(5)訂正・修正

当該箇所を二本線で消し、修正し、欄外に印鑑を押印し「何字訂正」「何字加入」「何字削除」などと記載し、修正したことを明らかにします。

また、二本線で消した訂正前のものが見えるようにしておかなければなりません。

 

(6)記載する内容のポイント

事実を簡潔に記載します。

文章の最後に、この通知によって支払等をしない場合は法的手段も辞さない旨を記載し、差出人の強い意思を伝えておくことも必要です。

 

4. 内容証明の出し方

 

郵便局に同内容の文書を3通提出します。

「内容証明でおねがいします。」と係員に伝えれば、後は郵便局で手続きをしてくれます。

そのとき必ず、配達証明も付けてもらいます。

内容証明郵便は、通常集配局が取り扱っています。小さな郵便局では取扱をしていませんので、事前に確認されることをお勧めします。

 

5. 内容証明の効果

 

その郵送した内容を、第三者たる郵政事業庁が証明してくれることにあります。

例えば、契約の解除の通知、クーリング・オフの行使、消滅時効中断のための催告等、内容及び通知・到達した日付等が重要である場合や後日裁判等で争われることが予想されるものに対しては、内容証明郵便で通知しておくことによって後日の証拠となります。

また、相手方の出方をうかがったり、心理的に圧力を掛ける、こちらの覚悟を知らしめる等の効果も期待できます。内容証明郵便を出したことにより、相手が任意に支払い等に応じる場合も考えられます。

但し、法的な効果は内容証明郵便自体にはありませんので、内容証明郵便を出したからといって、例えば強制執行ができるというわけではありませんし、相手方から何の反応もなかったからといってそれ自体で何らかの罪になるというわけではありません。

 

6.インターネットによる電子内容証明郵便

 

上記は、郵便局に文書と封筒を持参し、内容証明郵便を郵送する方法を説明しましたが、現在ではインターネットを通じて内容証明郵便を郵送することもできるようになっています。

詳しくは郵便局のホームページをご参照下さい。

 

一般的な事項を記載いたしました。

詳細は、司法書士等の専門家にご相談下さい。